電気自動車（EV）は「環境にやさしい乗り物」として注目されていますが、実際にはさまざまな要素が関係しており、一概に「エコ」とは言い切れない面もあります。本記事では、『EVがエコと言える点、エコであるとは言い切れない点』について、それぞれ開設していきます。１．『EVがエコである』といえる点EVによって「走行時に排気ガスを排出しない・エネルギー効率が高い・再エネとの親和性がある」という点は、エコであるということができます。まず、ガソリン車と異なり、EVは走行時に排気ガス（CO2）を出さないため、大気汚染や温室効果ガスの排出削減に効果的だと言われています。特に、都市部では空気環境改善につながります。次に、EVには高性能で大容量のバッテリーが搭載されており、ガソリン車と比べてエネルギー効率が非常に高く１㎞あたりの消費エネルギーが少ないとされています。さらに、EVはガソリン車と異なり、電気100％で走る車のため、再生可能エネルギー（太陽光・風力など）で充電すればライフサイクルでのCO₂排出を大きく減らすことも可能です。２．『EVがエコである』とは言い切れない点EVが「完全にエコ」と言えない理由は、『製造時の環境負荷が大きい・電力の発電方法に依存・バッテリー廃棄・リサイクルの課題』が挙げられます。まず、EVに使われるリチウムイオン電池の製造過程では、多くのエネルギーが消費され、CO₂排出も多く、環境負荷が大きいといえます。リチウム、コバルト、ニッケルなどの希少金属の採掘が環境破壊を引き起こすこともあります。次に、EVのエネルギー源となる、電力の発電方法に火力発電（石炭・天然ガス）を頼っているので、「EV＝ゼロエミッション（排出される温室効果ガスがゼロ）」とは言えません。さらに、車として使用されたEVバッテリーのバッテリー構造の複雑さや経済性課題、回収・物流体制の未整備、安全性のリスクからリサイクル技術はまだ発展途上です。不適切に廃棄・処理されてしまうと、土壌や水質汚染のリスクとなってしまします。３． EVをエコにするには使い方次第EVは、排気ガスを出さないことや、エネルギー効率、再エネとの親和性においてはエコということが出来る一方で、製造時の環境負荷や、電力の供給方法、リサイクル技術の課題においては、必ずしもエコと言い切れない面があります。そこで、「本当にエコ」にするには、製造時・使用時・使用後に適切な使い方をすると、よりエコである面が広がっていきます。製造時には、サステナブルなバッテリー原材料を使用することや、希少資源の使用量削減を考慮した製品開発を実施する。使用時には、再生可能エネルギーによる発電の活用や、EVの長期使用・高走行距離活用をする。使用後は、適切なバッテリー再利用・リサイクルを行うことが大切です。つまり、EVは「作ってすぐ（短期的）」はエコではないが、「長く使うほど（長期的）」ガソリン車より環境にやさしいということができます。「エコかどうか」は、そのEVがどこでどう作られ、どう使われるかで決まります。EVは“環境にやさしい可能性を持つ乗り物”として、持続可能な社会の一歩を担う存在です。【おすすめ記事】EVについてご興味をお持ちでしたら、是非こちらの記事もご覧ください！中古EVの価値が下落する理由を徹底解説～正確なバッテリー劣化診断がもたらす新たな可能性～https://auc-elt.com/column/1U89BE0t