電気自動車(EV)の普及とともに注目を集めているのが、EVで役目を終えたバッテリーに新たな価値や目的を見出し、再利用する「リパーパスバッテリー(Repurposed Battery)」です。これは、サステナブルな資源循環の一環として注目されています。ただ、その普及の中でよく聞かれるのが、「リパーパスバッテリーって、もう容量がかなり落ちてるんでしょ?」「使い物になるの?」という疑問です。今回は、リパーパスバッテリーが『再利用に適している理由』『実際の性能』を中心に、疑問を解決していきます。1.なぜEVから外されたのに再利用できるのか?EVで使われるリチウムイオン電池は非常に高性能で、厳しい品質管理のもとで製造されています。EVは瞬発力や高速充電への対応、極寒・酷暑の中での動作など、高度な性能が求められるため、一定の劣化でも交換が必要になり「寿命」と判断されます。ですが、これはあくまで“EV用途としての寿命”です。バッテリーそのものが完全に使えなくなったわけではなく、60〜70%程度の蓄電容量を保っています。実際に、欧州では、EVから外されたバッテリーを再利用して、マンションの非常用電源、オフグリッドハウスの電源、あるいは電力網の調整用バッファとして活用するプロジェクトが進んでいます。2.「安価でサステナブル」なエネルギーソリューションリパーパスバッテリーの最大の魅力は、コストパフォーマンスの高さです。新品の蓄電池に比べて価格は抑えられ、それでいて品質はEV基準をクリアした実績あります。さらに、再利用によって資源の使用量や廃棄物も削減できるため、環境負荷の低減にも貢献します。例えば、太陽光発電と組み合わせてリパーパスバッテリーを使えば、昼間に発電した電気を夜間に使用する「自家消費」の比率を高めることができ、電気代の節約や非常時の備えとしても価値があります。3.まとめ:性能が落ちても「使い道はある」世界的にEVの販売台数は年々増加しており、それに比例して廃車時に発生するバッテリーの数も増えていきます。リパーパスという考え方は、このバッテリー資源を「捨てる」のではなく「活かす」持続可能なアプローチです。「EV用バッテリーとしての寿命が尽きた」という事実は、決して「役に立たない」という意味ではありません。むしろ、その後に待っている“第二の人生”こそ、今のエネルギー社会が求めている存在です。もし、リパーパスバッテリーに「容量が少ないから意味がない」といった印象を持っていたなら、それはちょっとした誤解かもしれません。60~70%の容量は、日常生活や事業用途においては“十分すぎる”ポテンシャルを秘めています。これからのエネルギー活用を考えるうえで、リパーパスバッテリーは、欠かせない選択肢になっていくでしょう。【おすすめ記事】リパーパスについてご興味をお持ちでしたら、是非こちらの記事もご覧ください!リユース、リサイクルに続く話題の環境アクション「リパーパス」とは?https://auc-elt.com/column/Z7kGcwL9